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学問の大禁忌は作輟なり。或は作し或は輟むることありては遂に成就することなし。故に片時も此の緩がせなくするを、その志を持すると云う。(吉田松陰、「講孟箚記」安政二年七月二十六日)
事件ではなく戦争(田中克彦『ノモンハン戦争』)
2009年10月10日 (土) | 編集 |
ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)
(2009/06)
田中 克彦

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田中克彦(著)『ノモンハン戦争』(岩波新書)

はじめに満洲の漢字表記について触れられているところから、「やっぱり田中克彦だわ~」と思った。
マンジュは満洲とも満洲とも書かれ、現在は後者の表記を用いられることのほうが多い気がするけれど、そもそも清王朝と縁の深いこの地(民族)は、その清王朝が水と関係して水偏の漢字を用いたため、マンジュも水偏の漢字「満洲」と書かれるようになったとのこと。
漢字って、一文字々々々の語源をたどって、その意味を考慮して色んな単語として使われることもあるし、単にオトだけから使われることもあるし、大変よね。しかも同じ単語でも、日本と中国(やその他の国)では意味が違うこともあるし。「夜露四苦」とか、各字の意味も考えられつつ、視覚的な面白さもある。
すごいなあ。

話は脱線しましたが、この本はノモンハンは事件ではなく、勝敗明らかな(そして日本が負けた)戦争であったこととして書かれています。
印象的だったのは、日本・満洲と交流をもとうとしたモンゴルの人々が、当時のソ連によって処刑されたということ。指導的立場にあった人をはじめ、2万5824人が有罪とされ、2万474人が銃殺された。

最近、イギリス人が書いたソ連のスパイ小説を読んだのだけれど、ソ連ってどんな国だったんだろうか。
独立って、本当に暴力によらないと勝ち取れないものなんだろうか。

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貧乏暇なし(濱口桂一郎『新しい労働社会―雇用システムの再構築へ』)
2009年09月21日 (月) | 編集 |
新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)
(2009/07)
濱口 桂一郎

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■濱口桂一郎(著)『新しい労働社会―雇用システムの再構築へ』(岩波新書)

貧乏ではない人は、ヒマはなくても、暇をつくれるだろう。
貧乏である人には、ヒマはできても、暇はあってはならないだろう。

なんて言葉遊びのレベルはもう結構。

働きすぎの人には休息を、
職のない人には仕事を、
頭の悪い人には愛を、

これら皆それぞれ「得てもらう必要がある」ってことだと私は思います。
与えよう、なんて上から目線ではなくて。


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2009年ベスト(福間良明『「戦争体験」の戦後史 世代・教養・イデオロギー』)
2009年08月13日 (木) | 編集 |
「戦争体験」の戦後史―世代・教養・イデオロギー (中公新書)「戦争体験」の戦後史―世代・教養・イデオロギー (中公新書)
(2009/03)
福間 良明

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■福間良明(著)『「戦争体験」の戦後史 世代・教養・イデオロギー』(中公新書)

これは2009年のベスト10に入ります。
ベスト1かも。
反戦・平和論の論じられ方の変化が丁寧にたどってあります。
それにしても、誰かを責めながら、かつ現状の悲惨さを改善していくという両立は、とても難しい。

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私の目覚まし時計音は(笹本正治『中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界』)
2009年08月13日 (木) | 編集 |
中世の音・近世の音―鐘の音の結ぶ世界 (講談社学術文庫)中世の音・近世の音―鐘の音の結ぶ世界 (講談社学術文庫)
(2008/04/10)
笹本 正治

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■笹本正治(著)『中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界』(講談社学術文庫)

鐘の音ひとつからでも、こんなに色々な探究ができるのだな、と。
鐘の音ひとつへでも、人はこんなに色々な情動をはたらかせることができるのだな、と。

私の目覚まし時計音の意味は・・・悪夢から現実の境をつなぐものだろうか。
悪夢と現実、どちらがより良いのか。悪夢のほうがましな気がする。


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よくなくすというか、なくされたというか(小此木啓吾『対象喪失 悲しむということ』)
2009年08月13日 (木) | 編集 |
対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))
(1979/11)
小此木 啓吾

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■小此木啓吾(著)『対象喪失 悲しむということ』(中公新書)

随分前にフロイトの喪の論を読んで、それがちょうど私の石原吉郎論とかぶっていたので、喪つまり対象喪失の克服の過程について知りたいと思ったのだった。
この新書には色々な事例が紹介されていて、読みやすかった。
ただ、一番価値がある(ってのも変なのだけれど)部分は、著者がフロイト自身について論じている部分じゃなかろうか。


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不足感(長谷川三千子『からごころ―日本精神の逆説』)
2009年06月23日 (火) | 編集 |
からごころ―日本精神の逆説 (中公叢書)からごころ―日本精神の逆説 (中公叢書)
(1986/06)
長谷川 三千子

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■長谷川 三千子(著)『からごころ―日本精神の逆説』(中公叢書)

ちょっと期待しすぎていたかもしれません。
宣長の「からごころ」は、こんなに短く説明されてしまってよいのでしょうか?
しかもその説明も、いまいち消化できません。
他の章も含めて、結局いいたことが分かりません(私の読解力の問題だけではない気がします)。

「「国際社会」の国際化のために」は普通に良かったと思います。

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頓挫しているエスペラント(白井恭弘『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』)
2009年06月23日 (火) | 編集 |
外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)
(2008/09/19)
白井 恭弘

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■白井 恭弘(著)『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』(岩波新書)

ちょっと気になっていた本。図書館で借りて読んだ。買おうかな。どうしよっかな。

ともかくインプット(読む・聞く)を沢山して、ちょっとアウトプット(書く・話す(頭の中で独り言でも可))をする・・・とういのがよさそうだ。
そしてインプットは、自分の興味をもって色々知っている分野からはじめるのがよいそうだ。

私にとって重要だと思ったのが、通じればよいという気持ちでいてはいけない、というところか。そういう気持ちでは結局、文法が曖昧で誤ったまま記憶されてしまうからだそうだ。(その〈文法〉というのの普遍性(に見えること)は、また別問題として。)

英語からは逃れられそうにない。
というわけで、何かしらしたいなと思ったまま歳を経る、ありがちなパターンから逃れられそうにない。


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近代日本文学のために(上野千鶴子『スカートの下の劇場』)
2009年05月18日 (月) | 編集 |
スカートの下の劇場―ひとはどうしてパンティにこだわるのかスカートの下の劇場―ひとはどうしてパンティにこだわるのか
(1989/08)
上野 千鶴子

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上野千鶴子(著)
『スカートの下の劇場』(河出書房新社)

近代日本文学を読む人に、とても勉強になると思います。
いやほんとに。
それにしても、色々と大変です。

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自分の研究のために(畑谷史代『シベリア抑留とは何だったのか』)
2009年05月18日 (月) | 編集 |
シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)
(2009/03)
畑谷 史代

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畑谷史代(著)
『シベリア抑留とは何だったのか 詩人・石原吉郎のみちのり』(岩波ジュニア新書)

買ってすぐに読んだんだけど、書くの忘れてたというかなんというか。
石原吉郎についていろいろ調べてあって参考になったし、勉強になった。

これを踏まえて私はなにを書きたいのかが問題です。
こうした石原の個人史や、当時の社会的背景を踏まえて、私が追究したいのは別のところです。
もう少しで自分なりにわかってきそうなんだけれど。

この本の最後に、石原の詩が3篇のっている。
そのうちの「夜がやって来る」は、私もとても好きだ。好きだということばは変なんだけれど、好きだ。
詩のしめくくりは、こんな3行。

約束を信じながら 信じた/約束のとおりになることが/いたましくないか



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雇用期間三年のこと(笹山尚人『労働法はぼくらの味方!』)
2009年04月26日 (日) | 編集 |
労働法はぼくらの味方! (岩波ジュニア新書)労働法はぼくらの味方! (岩波ジュニア新書)
(2009/02)
笹山 尚人

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笹山尚人
『労働法はぼくらの味方!』(岩波ジュニア新書)

これ、恥ずかしながら知らんかった。

派遣法四〇条の四で考えられている上限にして三年という期間は、一人の人間が三年働いたら、という意味ではない。その仕事に、派遣労働者がついて働いた期間が、三年を超えたらという意味なんだ。だから、(…)前任者から数えて三年超えていれば、四〇条の四に該当する可能性はある
(134-135ページ)



ちょっと考えれば当然のことなんだけど。
それにしても、これって派遣だけではなくて、アルバイトやその他非正規雇用者すべてに適用されるべきじゃないのかね。たとえばコンビニの店員のアルバイトも、中華まんの上に食紅で点をつける単純作業従事者も。
誰ですか、「そんな単純労働なんて対象外だろう」と思ったひとは。ひとつの仕事を責任もってやり遂げようとするなら、単純な労働なんてない。たとえはじめは単純なことしかできなくても、徐々に難しくなっていくものだ。また、単純だったらそれはそれで続けるのは難しいことだ。
だから問題点は、労働内容が単純か複雑かを議論することじゃあない。

というわけで、非正規雇用者を気楽だ単純労働だという人には、そういう人のアタマこそ気楽で単純だと言いたい。
といってしまうのは、私の個人的な妬みや嫉みも含まれもなくはないのだが。

■追記■労働者派遣法第四〇条の四とは・・・
派遣先は、第35条の2第2項の規定による通知を受けた場合において、当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば第40条の2第1項の規定に抵触することとなる最初の日以降継続して第35条の2第2項の規定による通知を受けた派遣労働者を使用しようとするときは、当該抵触することとなる最初の日の前日までに、当該派遣労働者であつて当該派遣先に雇用されることを希望するものに対し、雇用契約の申込みをしなければならない。
(http://www.houko.com/00/01/S60/088.HTMより)

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自分の仕事・労働の中身(島本慈子『ルポ労働と戦争』)
2009年04月26日 (日) | 編集 |
ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書)ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書)
(2008/11)
島本 慈子

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島本慈子
『ルポ労働と戦争―この国のいまと未来』(岩波新書)

図書館で借りたのだけれど、こういう本こそ一家に一冊。
たとえば戦争がはじまると天気予報も軍事機密になってしまう。すると天気予報がきけなくなる。すると飛行機や電車や船の運航がうまくいかなくなる。そして日々の物資にも事欠き、さらに事故が起きて人が死傷する。通勤途中で自分が死ぬかもしれない。ああ命懸けの通勤だね。学制は命懸けの通学か。

 全駐労神奈川地区本部の三影憲一委員長に話を聞いた。三影さんは、造船会社で働いたあと、全駐労の専従役員になったという経歴の持ち主。自身は基地で働いたことがない。それだけに、在日米軍基地を見る目も、基地労働を見る目も客観的で冷静だ。
 その三影さんは、何度も、次の言葉を繰り返した。
 「基地従業員といえども、戦争に賛成だとか、戦争が好きだとかで働いているわけではない。みんな生活の糧を得る場として、あるいは自分の技術を生かす場として働いている。そこだけはね、ぜひわかってください。これは日米安保条約があって、地位協定があって、労務提供をするという日米間の政策・国策のうえでやっていることですから」
 その言葉は、「国策が基地労働を生み出している」という事実に無関心な社会への、いらだちのようにも感じられた。
(29-30ページ)



米軍基地内での労働に従事する人には、労働基準法も適用されなかったりするそうです。
労働基準法には「この法律で定める労働条件の基準は最低のものである」(第1章第1条)って書いてある。それが適用されないんですよ?!
もちろん、基地外でもそういう環境は多々あるのでしょう。自分に過去あった出来事を思い出しても腹が立つし。

話が逸れそう。

上のほかにも、自衛官のことばとして「自分の組織を弱くしようと思って働く人なんていない」(91ページ)、自分が頑張っているのもそれだ、という話も印象的。この自衛官は、だから国民に自衛隊のことをよく知ってもらいたいのだという。この国をどうするのか決めるのは国民だから、自衛隊のことを決めるのも国民なのだから、もっと知ってよく考えてほしいのだという。
立派な正論に思います。
ごめんなさい。これからよく考えます。よく考えるための、時間や心身の余力をもてる労働ができますように。そうした労働環境がまもられる世の中でありますように/なりますように。

自分の組織を弱くしようと思うことはなくても、同じように強くしようとも思わない人は世の中に大勢いると思います。自分の国(日本)を弱くしようと思うこともなく、強くしようと思うこともなく、そもそも何が強いのか弱いのかも考えず、何がよいかわるいか考えず、考えられない。そういうことでしょう。

先の引用からも分るように、積極的に人殺し(つきつめれば)をしようとする人は(あまり)いない。
だとしても、そのままじゃ困るのだな。

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