モンドの読書日記

都内の某大学へ通う学生による、日本や海外の文学関連書籍を中心とした読書記録。

エスプリとユーモア (1969年)エスプリとユーモア (1969年)
(1969)
河盛 好蔵

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河盛 好蔵 (著)
『エスプリとユーモア』(岩波新書、1969)

イギリス人の「ユーモア」と、フランス人の「エスプリ」との、比較文化論というものだろうか。
アマゾンの検索では、1988年の緑色の岩波新書も出てくるのだけれど、私が借りたのは1969年の版。

エスプリとユーモアのきいた話の、色んな例がとりあげられていて、どれも原典を読んでみたくなった。…その殆どの邦訳があるかどうかは不明だけれど。って、邦訳なきゃ私には歯がたたない(少なくとも歯をたてる時間がない)。

さて、エスプリとユーモアとの違いはどんなところか?
本には沢山の定義が紹介されていて、わけわからんようになるのだけれど、一つだけ簡潔な説明を憶えている。それは、著者がアンドレ・モロアという人の講演(1958年3月)を紹介した中に出てくる説明なのだけれど、あるイギリス婦人が言ったということば。
それによると、「わたしはでくのぼうです」というのがユーモアで、「あなたはでくのぼうです」というのがエスプリ、だそうだ。

にゃるほどねー。

自分は性質的にエスプリと親しい気がする。しかしエスプリを言えるほど賢くない。むしろでくのぼうだろう(昔、知人に「役立たずだね」と楽しそうに言われた)。だからユーモアをうまく言えるようになりたいものだ。ユーモアさえ言えないでくのぼうなんて…。

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ルネ・デュボス (著)、野島 徳吉、遠藤 三喜子 (翻訳)
『人間であるために』(紀伊国屋書店)

ルネ・デュボスRené Dubos(1901―1982)は、フランス生れで、24歳の時にアメリカへ移住した。微生物学者として有名(らしいのだが私はその辺りよく知らない)で、のちに文明批評家(って語があるらしいのだが、それもよく分からないな)
本書は原題 "SO HUMAN AN ANIMAL"(1968)。ピューリッツァー賞を受賞した本らしい。
内容は、地球の環境破壊や人間の不健全さを憂えた科学者による、…啓発本というか、なんといったらいいのか。ともかく2008年になった現在でも、内容はそう古びていない。
危険な言語―迫害のなかのエスペラント (1975年)

ウルリッヒ・リンス(著)、栗栖 継(翻訳)
『危険な言語―迫害のなかのエスペラント』(岩波新書、1975)

エスペラントは、母語にはならないし、ならなくていい。
第二言語(となるもの)として優れているということだ。
しかしこの第二言語として学ぶことすら、こんなに迫害を受けるとは。

第二言語として、ある特定の言語をつかうということが、その言語をえらぶということが、こんなに当人の理念や主義と結びついて周囲からみられる言語も、他に珍しいんじゃなかろうか。
良くも悪くも。

理念やら主義やらが、肝心の《言語をつかう》ということよりも目立ってしまうのは、言語からすれば本末転倒だろう。
ああ面白そうなエスペラント。使えたら楽しいだろうなあ。

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死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
(2003/12)
安達 正勝

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安達 正勝 (著)
『死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男』(集英社新書、2003/12)


日記タイトルは単なる連想から。これとは関係ないです。

新書なのだが、簡単な小説のようだった。
サンソン家の第4代目、シャルル‐アンリが大体主人公。

死刑執行人が、職業柄、人体構造について造詣が深く、すぐれた医者でもあったというのは、なるほどな、と。そして差別を受けた職業であったにもかかわらず、もしくはそれ故に、病人を診察しても貧乏人からはお金をとらなかったとか。
また、医術だけではなく、法律に関する知識も持っていなくてはならなかったらしい。なにせ「死刑」は法律と裁判で決まるのだし、パリの死刑執行人の職も高等法院付きなわけだから。
更に、職業柄、身体的能力と精神力も強くなくてはならなかった。

つまり死刑執行人というのは、医学薬学法学を修め、なおかつ高潔な魂の持ち主であることが求められる職だった、と。
そして、そういう人が実際務めていた場合も、確かにあったのだろうな、と。

興味深かったのは、
こうした死刑執行人だったサンソンが、死刑制度廃止を望んでいたということと、
フランス革命において、死刑執行人の市民権が認められていくくだり。

まあ読み易い本なので、面白そうと思った方は是非。

*****

追記。
バルザックの『知られざる傑作他五篇』(岩波文庫)のことを、9月頃に日記に書いたが、その中の「恐怖時代の一挿話」(Un episode sous la Terreur)という話を思い出したということを書き忘れていた。

この短編は、先のシャルル‐アンリ・サンソンの孫、アンリ‐クレマン・サンソンに取材して書かれたもの。シャルル‐アンリが、自分が処刑した国王のためにどうしてもミサをあげてほしいと、1792年9月の大虐殺を逃れて、隠れ住んでいた非宣誓派の神父(と元貴族の修道女二人)のもとを尋ねる話。

新書著者の安達正勝という人は、バルザックが好きで仏文科に進んだらしいし、この時代に特に興味がある人なんでしょう。
バルザックか…読んだ時、そんなに昂奮した憶えはないのだが、けっこう内容を思い出せるというのは、やはり何かあるんだろうな。そういうのが名作ってことなんだろうか。

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