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学問の大禁忌は作輟なり。或は作し或は輟むることありては遂に成就することなし。故に片時も此の緩がせなくするを、その志を持すると云う。(吉田松陰、「講孟箚記」安政二年七月二十六日)
もういいや(安藤礼二『光の曼荼羅 日本文学論』)
2009年09月21日 (月) | 編集 |
光の曼陀羅 日本文学論光の曼陀羅 日本文学論
(2008/11/22)
安藤 礼二

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■安藤礼二『光の曼荼羅 日本文学論』(講談社)

折口信夫以外、埴谷雄高と稲垣足穂についてはよく知りませんが。
人物交流等についてよく調べられているし、面白いと思ったところもあるが、全体的にどうも居心地悪い。何故かと考えてみるに、おそらく宗教について著者は知識はあっても関心がないのか、と感じたからかもしれない。

作品に同性愛的なるものを見出すことと、すべてを同性愛に還元することとは別だ。
また、いずれにせよ、その同性愛的なるものがどのような面白みがあるのか、といったことまで触れられなければ、論じる意味はないように思う。

本書は、折口の(同)性愛を、その作品にみられる生々しさや生命感に発展させて見たいのかもしれないが、それがあまり上手くいっていないように思った。

要するに私には文が気に入らなかった。

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もっと語って(円地文子『江戸文学問わず語り』)
2009年05月18日 (月) | 編集 |
江戸文学問わず語り (講談社文芸文庫)江戸文学問わず語り (講談社文芸文庫)
(2009/01/09)
円地 文子

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円地文子(著)
『江戸文学問わず語り』(講談社文芸文庫)

4月末頃に読んでた本。
あいかわらず文芸文庫は高いなあ。でも「解説」や「年譜」つきだから仕方ないというか、それでこの価格はむしろありがたや。
5月初旬の連休に、千葉の館山へ行こうと思っていたんだけれど、そしたらこの本の中に滝沢馬琴(と「南総里見八犬伝」など)について語られていて、不思議な縁でした。

他にも四世鶴屋南北やら上田秋成やらを語られて、最期に近松門左衛門。

 近代文学においては、西鶴の非情な眼を近松の底暖い人生観に較べて、より高度なものに評価したがる傾向がありますが、秋と春とを較べて、優劣を争うようなもので比較しようのないものを比較しているのです。
(209ページ)

 近松の文学が文章のなまめかしく艶な魅力のあることは確かですが、その艶なものを支えているのは彼の人生を見る暖い愛の眼です。傑れた禅僧のように勁く鋭く、人間の内蔵しているものを見ぬくのも愛の一表現でしょうが、近松のように、溺れて行く弱い人間たちといっしょに浪間を浮きつ沈みつ漂いながら、相手を抱き掬い上げようとする愛も決して甘いなどと言えるものとは思えません。
(219ページ)



ああ、近松の浄瑠璃を見たことがない自分がうらめしい。が、それは措く。
こうした円地の読み方は素敵だと思うし、その感性や教養の深さが文章から伝わってきて、なるほどなあとしみじみ思う。
けれども同時に、私がやりたいのは・書きたいのはこういうことではなかった、と強く思った。
文芸作品の作者について知ることは、勉強としてとても大事なことだ。けれども興味の重点は最終的に作者個人にあるのではない。作品を通して感じることが基本だし、またそこに帰ってくるように思う。

自分で書いててよくわからん。(こればっか。)

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大正の文壇(小島政二郎『眼中の人』)
2009年02月03日 (火) | 編集 |
眼中の人 (岩波文庫)眼中の人 (岩波文庫)
(1995/04)
小島 政二郎

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小島政二郎(著)
『眼中の人』(岩波文庫)

 私が小説家を志して以来、どんな種類の小説を目ざしていたかというのに、一ト口にいえば、美しいスタイルを持った小説だった。詩のある小説だった。芥川の小説、佐藤春夫の小説、永井荷風の小説が好きだということで、ほぼ私の志している小説が彷彿とするだろう。森鴎外の小説にもスタイルの美しさがある。鴎外の小説に詩がないという人がもしいるならば、それは自身の読みの浅さを悲しむがいい。
(83ページ)



こんな著者が様々な人との出会いを通じ、その創作や人生に影響を受けていった様子が描かれている。うーん、実存的な作品って、こういうものをいうのかしら。面白かった。
芥川竜之介という人は、本当に頭のきれる人だったのだな。(今読んでいる内村剛介の本で触れられている芥川の作品に関する記述も興味深いものがある。)
しかし更に菊池寛からは、菊池本人の魅力もさることながら、その「人生的」「現実的」(83ページ)な作品にとても惹かれたらしい。ふーむ。そうなのか。
かくいう私は、『真珠婦人』を半分ほど読んだだけでイライラして(主人公らしき若い男女がイヤだった)、以来菊池寛の本は読んでない。また何か読んでみるべきなんだろうか。

大分前に読んだので、感想はこれくらいで。
でもとっても面白かった。こんなに楽しく「へー」「ほー」と思いながら読めたのは、たぶん余りないのじゃなかろうか。

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推理小説は好きですか(高山宏『殺す・集める・読む』)
2008年11月04日 (火) | 編集 |
殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)
(2002/01)
高山 宏

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高山宏(著)
『殺す・集める・読む―推理小説特殊講義』(創元ライブラリ)

うーん、はじめはすごくワクワクしたのだけれど、そして今でもすごいなとは思うのだけれど、どうもある意味物足りない気が・・・?
いろいろ物の見方を教えてくれるし、いわゆる専門書やその理論と、実際の歴史や出来事とが関連づけられていて、それらは本当にすごいことだとは思うのだけれど。
なんなんだろう。
ああそうか、これはそれこそ推理小説と同じパターンだ。
ドキドキハラハラして面白いのだけれど、読んでしばらくすると忘れてしまうってやつ。
これはもちろん読み手である私の問題で(も)ある。
こんなことを書いてはいるけれど、とても面白いのでおすすめの本です。

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いやはや(高田里惠子『男の子のための軍隊学習のススメ』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書 (089))男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書 (089))
(2008/08)
高田 里惠子

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高田里惠子『男の子のための軍隊学習のススメ』(ちくまプリマー新書、2008/8)

ふー、来週の今頃は学会かー。別に私が発表させてもらうわけじゃないが。
面白い話、聴けるといいな。

佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』に続く、ちくまプリマー新書読書の2冊目。
(次に読むなら青野由利『生命科学の冒険』かしらん。柴田翔『詩への道しるべ』も気になる。)

富士正晴の「帝国軍隊に於ける学習・序」が度々とりあげられるのだけれど、ああ、これはやはりすごいよね。
私はもっと勉強しなきゃー。本の最後に、引用・参考文献一覧があって、とてもありがたい。古山高麗雄や田中小実昌の本、読んだことないや。
第四章「軍服と裸体のあいだ」で、軍隊の中の演芸についてふれられていた。そこがもっと知りたいと思ったところ。

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恥さらした…(武田泰淳『司馬遷』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)
(1997/10)
武田 泰淳

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武田泰淳『司馬遷 史記の世界』(講談社文芸文庫、1997/10)

1972年10月講談社の単行本が底本。
出だしの「司馬遷は生き恥さらした男である。」は有名ですね。
この本と、竹内好の『魯迅』(いうまでもないが『魯迅入門』じゃないよ)とは、中野重治『斎藤茂吉ノート』に触発されて書かれたってのも有名ですね。
私は茂吉ノートを未読なのだが、『魯迅』とこれを読んで思ったのは、二つともその主題として扱っている魯迅や司馬遷の人となりを、すごく感じさせるような本だったということ。
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塩鉄の道(花田清輝『随筆三国志』)
2008年08月01日 (金) | 編集 |
随筆三国志 (講談社文芸文庫 はB 13)随筆三国志 (講談社文芸文庫 はB 13)
(2007/05/11)
花田 清輝

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花田 清輝 (著)
『随筆三国志』(講談社文芸文庫、2007/5/11)

1969年頃の本。
「儒生、時務を知らず」で、ああこの人は…とまた思ったのだった。
塩と鉄は、人の生活の基盤に関わることだから、それらの統制といった視点による孔明と王連、法正の話は読んでいて「にゃるほどなー」と。


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満塁無得点(前田塁『小説の設計図』)
2008年06月17日 (火) | 編集 |
小説の設計図(メカニクス)小説の設計図(メカニクス)
(2008/03/05)
前田 塁

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前田 塁 (著)
『小説の設計図(メカニクス)』(青土社、2008/3/5)

たしか新聞の書評に載っていて、面白そうと思って図書館で借りたのだった。
川上弘美、多和田葉子、小川洋子、西原理恵子、松浦理英子、中原昌也についての各論考を収録。

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愛の逃避行(米原万里『米原万里の「愛の法則」』)
2008年06月09日 (月) | 編集 |
米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F) (集英社新書 406F)米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F) (集英社新書 406F)
(2007/08/17)
米原 万里

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米原万里(著)
『米原万里の「愛の法則」』(集英社新書、2007/8/17)

やらなきゃいけないことあるのに、記録書いて逃避してます。ううう。

先日、本屋で立ち読み(済みません、買えませんでした)。
お亡くなりになってからもう2年が経つのだな。
本当に、ついこの間のことみたいなのに。たしか新聞で訃報を知って、ウソみたいだと思ったのだった。
『オリガ・モリソヴナの反語法』『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだのはいつだったか…ん、話の記憶が曖昧だ。こりゃいかん。
それはさておき、この本は四本の講演「愛の法則」、「国際化とグローバリゼーション」、「理解と誤解のあいだ : 通訳の限界と可能性」、「通訳と翻訳の違い」を収録。


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星と露(国文学研究資料館『物語の生成と受容(1) 〈水〉の平安文学史』)
2008年06月06日 (金) | 編集 |
人間文化研究機構国文学研究資料館文学形成研究系「平安文学における場面生成研究」プロジェクト
『物語の生成と受容―国文学研究資料館平成17年度研究成果報告 (1) 〈水〉の平安文学史』(2006/3)

画像は同報告書の(3)。((1)が見付からなかったため、失礼ながら代わりに。)

今日の夕方、大学の図書館で読みたてほやほや。(残念ながら時間が押していたのできちんと読めなかったのだが。)
現在は(3)まで出ているそうで、気になるのだが、うちには(1)しか置いていないようだ。
国文学の作品を、木・火・土・金・水に着目して場面を分析しようという試み。
国文学研究資料館(「日本文学」ではないのだな)の先生方が四名ほど執筆されています。
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写真がたくさん(『文豪・夏目漱石 そのこころとまなざし』)
2008年05月15日 (木) | 編集 |
文豪・夏目漱石 そのこころとまなざし文豪・夏目漱石 そのこころとまなざし
(2007/09/20)
江戸東京博物館・東北大学

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江戸東京博物館・東北大学(編集)
『文豪・夏目漱石 そのこころとまなざし』(朝日新聞社、2007/9/20)

図書館の入り口付近に飾ってあったので、なんとなく借りた。
もううろ覚え…。
夏目漱石は自分の痘痕を気にして、写真も修整させてたってのが意外だった。
若い頃の写真とか、かなり整ってるのにね。
写真といえば、写真をとると長生きするとか病気を回復するだとかいう俗説があったらしく、死の床についていた漱石を、本人に分からないように家人が写真を撮らせたりしていたというエピソードがあった。老後は家族に囲まれて、その点はこの人にとっては良かったのだろう。
それにしても、外国(留学)生活ってのは人によって合う・合わないがあるのだとは思うのだが、どうして漱石には合わなかったんだろうか。
まあそんな感じで。

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