安達 正勝 (著)
『死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男』(集英社新書、2003/12)
日記タイトルは単なる連想から。これとは関係ないです。
新書なのだが、簡単な小説のようだった。
サンソン家の第4代目、シャルル‐アンリが大体主人公。
死刑執行人が、職業柄、人体構造について造詣が深く、すぐれた医者でもあったというのは、なるほどな、と。そして差別を受けた職業であったにもかかわらず、もしくはそれ故に、病人を診察しても貧乏人からはお金をとらなかったとか。
また、医術だけではなく、法律に関する知識も持っていなくてはならなかったらしい。なにせ「死刑」は法律と裁判で決まるのだし、パリの死刑執行人の職も高等法院付きなわけだから。
更に、職業柄、身体的能力と精神力も強くなくてはならなかった。
つまり死刑執行人というのは、医学薬学法学を修め、なおかつ高潔な魂の持ち主であることが求められる職だった、と。
そして、そういう人が実際務めていた場合も、確かにあったのだろうな、と。
興味深かったのは、
こうした死刑執行人だったサンソンが、死刑制度廃止を望んでいたということと、
フランス革命において、死刑執行人の市民権が認められていくくだり。
まあ読み易い本なので、面白そうと思った方は是非。
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追記。
バルザックの『知られざる傑作他五篇』(岩波文庫)のことを、9月頃に日記に書いたが、その中の「恐怖時代の一挿話」(Un episode sous la Terreur)という話を思い出したということを書き忘れていた。
この短編は、先のシャルル‐アンリ・サンソンの孫、アンリ‐クレマン・サンソンに取材して書かれたもの。シャルル‐アンリが、自分が処刑した国王のためにどうしてもミサをあげてほしいと、1792年9月の大虐殺を逃れて、隠れ住んでいた非宣誓派の神父(と元貴族の修道女二人)のもとを尋ねる話。
新書著者の安達正勝という人は、バルザックが好きで仏文科に進んだらしいし、この時代に特に興味がある人なんでしょう。
バルザックか…読んだ時、そんなに昂奮した憶えはないのだが、けっこう内容を思い出せるというのは、やはり何かあるんだろうな。そういうのが名作ってことなんだろうか。
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