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学問の大禁忌は作輟なり。或は作し或は輟むることありては遂に成就することなし。故に片時も此の緩がせなくするを、その志を持すると云う。(吉田松陰、「講孟箚記」安政二年七月二十六日)
いやはや(高田里惠子『男の子のための軍隊学習のススメ』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書 (089))男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書 (089))
(2008/08)
高田 里惠子

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高田里惠子『男の子のための軍隊学習のススメ』(ちくまプリマー新書、2008/8)

ふー、来週の今頃は学会かー。別に私が発表させてもらうわけじゃないが。
面白い話、聴けるといいな。

佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』に続く、ちくまプリマー新書読書の2冊目。
(次に読むなら青野由利『生命科学の冒険』かしらん。柴田翔『詩への道しるべ』も気になる。)

富士正晴の「帝国軍隊に於ける学習・序」が度々とりあげられるのだけれど、ああ、これはやはりすごいよね。
私はもっと勉強しなきゃー。本の最後に、引用・参考文献一覧があって、とてもありがたい。古山高麗雄や田中小実昌の本、読んだことないや。
第四章「軍服と裸体のあいだ」で、軍隊の中の演芸についてふれられていた。そこがもっと知りたいと思ったところ。

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眠り男(ビデオ『M』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
フリッツ・ラング_M
映画『M』(1931年、ドイツ)
監督: フリッツ・ラング
出演: ピーター・ローレ 他

丸尾末広の「眠り男」(『新ナショナルキット』)はこれのね…。

監督のフリッツ・ラングは、この映画の撮影後にパリへ亡命したということで、そういった当時のドイツの状況(ヒトラーの労働党が台頭しつつある頃)というのを考えると、映画の中の警察が何を象徴しているのかとか、色々とこみいったことも考えられそうです。
また、映画の終盤での人民裁判の模様も、その是非を問うことをしたがる人も多いでしょう。もちろん、ひとりひとりが考えることをきっと監督も望んでいたでしょう。
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ドラキュラは生きてたのか(武藤浩史『「ドラキュラ」からブンガク』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
『ドラキュラ』からブンガク―血、のみならず、口のすべて (慶應義塾大学教養研究センター選書)『ドラキュラ』からブンガク―血、のみならず、口のすべて (慶應義塾大学教養研究センター選書)
(2006/04)
武藤 浩史

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武藤浩史『「ドラキュラ」からブンガク 血、のみならず、口のすべて』(慶應義塾大学教養研究センター選書、2006/3)

ドラキュラというブンガクサクヒンを研究する面白さは、丹治愛の『ドラキュラの世紀末 ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究』を読んで知った。その丹治愛の本が、ヴィクトリア朝時代の大英帝国の様相をテーマとしているなら、こちらの武藤氏の本は口(←四角じゃなくてクチね)を切り口に音声メディア、セクシュアリティ、アイルランド大飢饉(1946-1952年頃)を論じようとした本といえる。
はっ。口を切り口。…あー、くだらん。


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恥さらした…(武田泰淳『司馬遷』)
2008年09月27日 (土) | 編集 |
司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)
(1997/10)
武田 泰淳

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武田泰淳『司馬遷 史記の世界』(講談社文芸文庫、1997/10)

1972年10月講談社の単行本が底本。
出だしの「司馬遷は生き恥さらした男である。」は有名ですね。
この本と、竹内好の『魯迅』(いうまでもないが『魯迅入門』じゃないよ)とは、中野重治『斎藤茂吉ノート』に触発されて書かれたってのも有名ですね。
私は茂吉ノートを未読なのだが、『魯迅』とこれを読んで思ったのは、二つともその主題として扱っている魯迅や司馬遷の人となりを、すごく感じさせるような本だったということ。
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バッハの曲、ウェーバーの絵
2008年09月21日 (日) | 編集 |
バッハ/インベンションとシンフォニア (ハンス・ビショップ校訂)バッハ/インベンションとシンフォニア (ハンス・ビショップ校訂)
(1998/12/10)
H. ビショッフ角倉 一朗

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『バッハ/インベンションとシンフォニア(ハンス・ビショップ校訂』

きのう買って来た楽譜。
グールドの演奏を聴いていて、自分でも弾いてみたくなった。(もちろん腕前は、月とスッポンと言うことすら、スッポンが聞いたら気を悪くするだろう!)
美しいなにかに触れると、心は乱されるのか、それとも穏やかになるのか。謎だ。

ピアノは幼い頃に少しだけならっていて、バッハの曲もいくつか弾いた(はず)だが、インヴェンションの譜は家になかったので。
私が買ったのは、上の全音のものだが、色々な版があるようでナニがドレやら分からず困ります。

というわけで、よれよれで滑りまくる指で最近ピアノをちょっと弾く日もあるのだが、なんだか楽しい。
が、数年間も調律していないピアノで、鍵盤が一つ凹んでいたりするし、腕前は先に書いた通りだし、音がすごいことになってます。

*****

レオナルド・ウェーバーの絵が部屋に飾られた。坂道を下った先に湾が見える街並み。
秋めいていて綺麗だ。

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青春の惑乱(ビデオ『テルレスの青春』)
2008年09月21日 (日) | 編集 |
テルレスの青春_シュレーンドルフ

映画『テルレスの青春』(1966年、ドイツ・フランス)
監督: フォルカー・シュレーンドルフ
出演: マチュー・カリエール 他

原作はロベルト・ムージルの「テルレスの惑乱」(これは松籟社の全集に入っている邦題。鎌田道生・久山秀貞訳)。いま光文社古典新訳文庫から、丘沢静也という人の訳で、「寄宿生テルレスの混乱」という題で出てます。

孤独にもいくつかの形がある。
テルレスのある種の冷酷さは、その一つだろう。
けれども、それは人相手のものである限り、不安定で危うげだ。
学校を去ることになったのは必然的かつ望ましい結末だったのだろうな。

…なーんて思って観ていたが、原作も図書館から借りてきたので、そちらを読んだらまた色々と違ったふうに思うでしょうね。
マチュー・カリエール、知り合いの誰かに似ている気がするのだが。

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仁勢物語(富士正晴『パロディの精神』)
2008年09月18日 (木) | 編集 |
パロディの精神 (平凡社選書)パロディの精神 (平凡社選書)
(1974/11)
富士 正晴

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富士正晴『パロディの精神』(平凡社)

むむむ、私の持っている本と、上のAmazonで出てくる画像とでは違うのだが、1974年11月ってのは同じだし、平凡社選書38ってのも同じだし、やっぱり同一のものなのかしらん。
本の内容とは関係ないが、この本もそうなのだが、11月10日付けで発行されている本が多い気がする。これまで何度もこの日付を見た記憶があるので。

さて内容だが、『伊勢物語』のパロディ本である烏丸光広『仁勢物語』を、富士正晴が現代語に意訳した本。
でも前半に、著者・富士氏の烏丸光広に関する考察がある。そこの中で、著者が「戦国時代の口語」に興味をもったといっているところに、私もまた興味をもった。
ことばを面白がる、ことを面白がる、ことを面白がる、ことをお…って無限だな。

後半の、伊勢と仁勢の並訳は、たしかに富士氏もおっしゃるとおり、仁勢のパロディがそれほど素晴らしいとも思えない。が、よくここまで書かれたものだなー、と。

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のびのび(ももココロ『がじゅまるファミリー(1)』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
moももココロ『がじゅまるファミリー(1)』
ももココロ『がじゅまるファミリー(1)』(琉球新報社、2008/03)

2006年元旦から連載のはじまった、琉球新報の4コマ漫画。1巻には、その2006年の一年分が収録されている。

沖縄は行ったことないけど、のんびりのびのびなイメージで、この本も一家ののびやかな毎日が幸せそうでうらやまし~。いつかそういうところでぼんやり一生暮らしたい、と思い続けてはやウン年。

もちろん、いいことばかりじゃないのが現実で、4コマにもそれは感じられる。
けれども、そういったところを含めて、やっぱりのびのび素敵な本でした。

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【買った本】12冊
2008年09月17日 (水) | 編集 |
はー、今月もまた、ようやく引き取りに行けた。

・浅井了意『江戸怪異草子』(富士正晴訳、河出文庫)
・加藤周一、丸山眞男『翻訳と日本の近代』(岩波新書)
・加藤周一『日本文学史序説』上下(ちくま学芸文庫)
・北森嘉蔵『ヨブ記講話』(教文館)
・高田里恵子『男の子のための軍隊学習のススメ』(ちくまプリマー新書)
・丹治愛『知の教科書 批評理論』
・フロイト『エロス論集』(ちくま学芸文庫)
・フロイト『幻想の未来、文化への不満』(光文社古典新訳文庫)
・ももココロ『かじゅまるファミリー』1(琉球新報社)
・ポール・ラファルグ『怠ける権利』(平凡社ライブラリー)
・武藤浩史『「ドラキュラ」からブンガク』(慶應義塾大学教養研究センター選書)

実はいますぐ読みたい本は、また一ヵ月後にならないと買いに行けないのだが。

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そういえば篤姫は人気だな(橋川文三『西郷隆盛紀行』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
橋川 文三 (著) 『西郷隆盛紀行』(朝日選書280、1985/5)


著者は西郷隆盛の伝記を書こうとしたらしい。
西郷隆盛が二回の島流しにあったことは有名だと思うけれど、その島流しのときの心境は大分違ったものになっていたのではないか、それによって、藩に呼び戻されたときの態度の違いも見えてくるのではないか…ということが考えられているのが、私にはとても新鮮だった。(まあそもそも、私の西郷どんに関する知識が微少ということもあるが。)
はじめのほうに、著者と島尾敏雄の対談が載っている。当時、島尾敏雄は奄美大島の名瀬に住み、鹿児島県立図書館名瀬分室に勤めていた。そりゃあ西郷隆盛や南方のことも詳しかったろう。

あと、幕末期の中国大陸進出の気運といったものについて、それが大正昭和頃とは違い、やはりどこか夢のような、現実味のとぼしい、いわば机上の空論めいたものだったようだという考察(本文はもっと別のことばで書かれてます)は、なるほどそうかもなーと。吉田松陰の本とか読んでいて「国家拡張!」的な話が出てきても、どうもピンとこないことがあったので。

そういえば島尾敏雄は『死の棘』しか読んでいないが(これはすごい本だった)、他のも読みたいなあ。

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水戸黄門(森銑三『古人往来』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
古人往来 (中公文庫 も 6-10)古人往来 (中公文庫 も 6-10)
(2007/09/22)
森 銑三

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森銑三『古人往来』(中公文庫)

はあー、書誌学って大変なものなのだな。すごいなあ。
この本には日本近世の武人・文人いろいろのエピソードが書かれている。
たとえば、「徳川光圀の討幕計画」には、こんなことが。

松平義行の随筆「埋火」に書かれた、水戸光圀のはなし。
ある時、光圀が奥山立庵という人(私はよく知らん)の家に行くことになった。その準備をしていた立庵へ、牧野八太夫という人が珍しい高麗茶碗を貸してくれた。しかもその珍しさのゆえに未使用でとっておかれたもの。
で、光圀がきた当日、その茶碗にやはり大変悦んで、口をつけようとはせずに、ぜひ呉れという。
後日なぜかときくに、いつか将軍お越しの折もあろうから、その時にまだ他人に汚されていないままでお出ししたいので…ということだった。

とまあ、そんな逸事を引いて、森さんはこういう。

光圀の討幕計画(…)光圀にそうした計画のあったということは、水戸の一部の人々にも既に信じられているのであり、今後はますますこれを信じる人が増すであろうかとも考えられる。しかしそうした考え方は如何であろうか。
(134頁)


 光圀に依って興されたいわゆる水戸学は、皇室尊崇を中心思想とする。それを究極まで押し進めて行けば、討幕論は必然の結果として生れて来るかも知れぬ。光圀もそうした論議の行われる時の来ようことを予期していたかも知れぬ。しかし光圀の時代に於て、皇室と幕府とは両立し難いような状態にはなってはいなかった。光圀が自分の時代に幕府の討伐を実行しようと計画したなどというは、到底私等には信ぜられぬ。幕府をして尊王の実を挙げしめることが当時としては最も当を得たものであり、それがまた光圀の意思ではなかったか、と私等には思われる。
(134-135頁)



一見些細な話から、その人の性質に思いをいたし、時代背景も踏まえ、ものを読む。これは学問でも大事な姿勢だろうし、日常でも大事なことだと思うのだが。私にもできるかね。

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いかなる場合でも(プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
アウシュヴィッツは終わらない―あるイタリア人生存者の考察アウシュヴィッツは終わらない―あるイタリア人生存者の考察
(1980/01)
プリーモ・レーヴィ

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プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』(竹山博英訳、朝日選書)

読み終えてすぐ、「きっと著者はまだ書き足りないだろうな」と思った。
本編に次いで「若い読者に答える」が収録されている。この本が出版されたあと、著者は色々なところから招かれ、講演なぞをしたらしい。それらのことがあって書かれたものだ。
その中に、次のような部分がある。

 3 ラーゲルから脱走した囚人はいましたか? なぜ大衆的な反乱が起きなかったのでしょうか?

 一番ひんぱんになされたのが、この質問だった。だからその裏には切実な関心があるに違いない。私はこの質問を好意的に解している。今日の若者は自由を【いかなる場合でも】放棄できない財産と考えている。(…)

(226頁。【】内は原文傍点。)



どうしようもなく参っている人に対して、たとえば「なんでもっとうまくできないの?」とか「もっと強く・前向きに・頑張ればいいじゃん」といったことを気軽に、もしくは非難するように言う人もいるだろう。
ああ、けれどもそのことばが、どれほど悪意ある暴力となることか。(勿論、どんなことばでも、ある種暴力的だ。が、そのはなしは措く。)
上の引用にあげられている、沢山の人が著者へ問うたことばも、きっとそういった悪意を含んだニュアンス(個々のジュンスイなセイギカンから出たものも含めて)を持って発せられたこともあるだろう。
それを、著者は「好意的に解している」と書いている。本当に、すごいなと思った。

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盲目の詩人(『エロシェンコ童話集』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
エロシェンコ童話集 (偕成社文庫)エロシェンコ童話集 (偕成社文庫)
(1993/11)
ワシーリー エロシェンコ高杉 一郎

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『エロシェンコ童話集』(高杉一郎編訳、偕成社文庫)

高杉一郎の訳。高杉氏は『エロシェンコ全集』全三巻も出している。(なお、その版権の所有者は、あの神近市子だそうな。現在はどうなってるんだろ。)

「虎が疲れた……。」「ああ、虎が疲れた……虎がまったく疲れてしまった……」(「せまい檻」)の訳に参った。虎「は」ではなくて、虎「が」なのだな、これはやはり。
この「せまい檻」もだが、どれも一筋縄ではいかない話ばかりだ。
また童話ではないが、一緒に収録されている「モスクワ盲学校の思い出」も、大変よかった。

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飛行機野郎カフカ(『カフカ寓話集』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
カフカ寓話集 (岩波文庫)カフカ寓話集 (岩波文庫)
(1998/01)
カフカ

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『カフカ寓話集』(池内紀編訳、岩波文庫)

「走り過ぎる者たち」なんて、とても短い話なのに、日常的な心の薄暗いはたらきをドンピシャと言い当てられたようで、やっぱすごいなあと。
ほかにも「ジャッカルとアラビア人」の、異国情緒も感じられながらそれだけに終わらない恐ろしさ。
はあー。
カフカ自身の書いた落書きが7つほど収録されていて、それが妙にうまく見えた。

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島尾敏雄、富士正晴(早川茉莉編『エッセンス・オブ・久坂葉子』)
2008年09月17日 (水) | 編集 |
エッセンス・オブ・久坂葉子エッセンス・オブ・久坂葉子
(2008/04/30)
久坂 葉子

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早川茉莉編『エッセンス・オブ・久坂葉子』(河出書房新社)

自作の小説「港町風景」をもち、当時六甲在住だった島尾敏雄を訪ね、のちに富士正晴に師事。
そんな久坂葉子のことを私が知ったのは、その富士正晴の本(残念ながら『贋・久坂葉子伝』ではない。これは未読)からだった。

有名な「幾度目かの最期」はいうまでもないけれど、「黒い扮装(いでたち)」とか、印象的だった。
男は妄想が激しいといい、女は勘が鋭いという。その女の勘の鋭さもまた、妄想の一形態なんじゃないかと私は思っているのだが、この人の本を読んでまたそう思ったのだった。

作品についてだけではなく、作者である久坂葉子という人のことも思ってみたが、ここでは書かない。

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Sさん博士論文発表会
2008年09月09日 (火) | 編集 |
先週、知人Sさんの博士論文発表会があった。
Sさんは博士課程から私のいる大学にいらした方で、私とも同じ指導教官だったのだが、研究分野がやや異なっていた為か、気付くと他学部の教官が主査へとかわっていた。

内容は岡倉覚三(岡倉天心のことね)の、主にボストン美術館勤務時代について。岡倉が書いた「白狐」というオペラの時代・社会・思想背景など。

と、こう書くと「たったそれだけのことか」と思われる向きもあるかもしれないが、ところがどっこい、岡倉と誰某との交流関係やら書簡やら、図版やら、狐に関する東西洋文化の比較やらで、それはそれは大変な力作となられたようだ。

私は事情によって発表会を最後まで聴けなかったので、後日個人的にSさんに質問を2つほどした。
一つは、岡倉がギルダー婦人に宛てた手紙中にあった「東洋の「形式の詩人」たち」という文について、それはどういう意味なのかと。
私がいま関心をもっている詩人Iが、後年やたらと形式にこだわりを見せるので、気になったのだった。
二つには、「白狐」について。このオペラでは狐の女性(妻)変化がえがかれているのだが、狐と女性(妻)というテーマでは、イギリスのデイヴィッド・ガーネットの小説『狐になった奥様』というのもある。それとの比較研究はあるのだろうかと。

一つめの回答は、岡倉のいう「形式」には水墨画が関係するだろうとのこと。
二つめの回答は、ガーネットの上の小説は知らなかったが、東西の狐や動物観は正反対(という研究ばかり)だとのこと。たとえば日本の狐は人間よりも情愛細やかとされるが、西洋ではそもそも狐や動物と人間との心の交流があるとも考え難いようだ、と。(だから岡倉は、そうした異文化の接触も含めて「白狐」を書いたのだろう、ということだ。)

話がまだまだ粗い割には長くなりそうだし、これでやめるが、二つめの動物観や死生観、更には輪廻観なども比較も面白そうだけれど、やはり今は一つめの形式・フォルムということが気になるな。

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労働と消費
2008年09月08日 (月) | 編集 |
消費する分は、労働して稼がなければならない。

けれども、それでは「自分にとって消費する価値あるものは何か?」
…いや、こういう問いのたて方は、あんまり上手くないな。
「自分にとって消費する価値あるものが何かを、決められる生き方をしているか?」
…まあ、自分で決めることが常にエライわけじゃないが。

いまは住むところがあり、食べられてもいるけれど、ひとりで生活できるほどの稼ぎもなし、年はとるばかりで減りゃしない。
将来は不安だらけだ。

ところが、その「将来の不安」のためにバリバリ働こうという気持ちに、どうしてもなれない。
それこそが、そんな自分こそが、不安の根源なのだが。

沢山働いた人が、沢山収入を得て、沢山消費するのは、結構なことだ。
だが私は、沢山はいらないのだが。
ほどほどに働いて、ほどほどの収入を得て、ほどほどに消費したい。
しかし現実はどうだ。
ほどほどに働いて、ごくわずかの収入を得て、一人分の生計もたてられない。

*****

ひとつ子どもを例に考えてみよう。

人間が人間を生み、育て、死ぬものだとしよう(って、実際そういうものであるはずだが)。
つまり、子どもを大人が育てるものだとしよう。

・大人は子どもの分も収入がなければならない。もしくは子どもよりも収入が多い。(少なくとも、赤ん坊は労働できない。)
・つまり、ある瞬間に、全ての人間が収入を得ているわけがない。
・つまり、収入を得ていない人間もいる。
・つまり、収入を得ている人間と収入を得ていない人間とが共同生活しているのが社会である。
・つまり、全ての人間がひとりで生計をたてはしない。
・少なくとも、親子家族というのは、収入を得ている人間と得ていない人間との共同生活である。
・つまり、人間が生まれ続ける限り、全ての人間が(たとえ当人ひとり分程度ですらも)収入を得るような状況はありえない。
・全ての人間が収入を得るような状況は、人間がその世代でオシマイになる時である。

ふーむ、私が「もっと稼ごう!」と思うには、1:子ども、2:将来の伴侶、3:老いた親、のいずれかを真剣に考えるとよいのだろうか。(この期に及んで、なぜそこに「老いた自分」が入らないのか…。)

*****

なにより、勉強を真剣にすべきだな。

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ふるい契約(佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』)
2008年09月05日 (金) | 編集 |
民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書 64)民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書 64)
(2007/08)
佐々木 毅

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佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書

中高生向きの新書。でも私なぞには大変勉強になります。

ハッとしたのは、第二章「代表制を伴った民主政治の誕生」。イギリスの大憲章(1215年)という国王と封建領主たちとの「支配服従契約」(38頁)にはじまって、社会契約説の誕生につながる部分の話。
現代のような人間一般の権利という考えが生まれたのは、確かにすごいことだ。けれども、例えばそんな社会の成立を説明した社会契約説といった重要な考えが生まれたのは、既にそれ以前の大憲章等の「支配服従契約」という考え方ができていたからなんだろう。
「契約」ってので、色んな流れが見えてきそう。ヨーロッパで契約といえば、考えてみれば聖書の時代からあるなあ。

…などとぼんやりしてました。
あったりまえといえばそうなんだろうけれど、そういう所に改めて気付かされたのも、著者の佐々木先生がすごい人だからなんだろう。あー。

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またわんこ~(武田百合子『犬が星見た』)
2008年09月04日 (木) | 編集 |
犬が星見た―ロシア旅行 (1979年)犬が星見た―ロシア旅行 (1979年)
(1979/02)
武田 百合子

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武田百合子『犬が星見た』(中公文庫、1982/1)

2、3ヶ月前に読んだ本。
ありゃ、アマゾンの画像だと「1979/02」になってるな。

とっても楽しい本だった。
著者の夫・武田泰淳と、竹内好との3人で行った、ロシア旅行の話。
昭和44年6月からってことは、1969年6月か。

一緒の旅行グループにいた関西のお大尽、銭高老人が面白い。
作者の好意が文ににじみでてるというのは、こういうのをいうのだろう。
銭高老人の口ぐせ「わしゃ、よう知っとった」、読んでるうちに次はいつ出てくるかしらん、と待ち遠しくなっちゃった。

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わんこ~(ブッツァーティ、ディーノ『神を見た犬』)
2008年09月04日 (木) | 編集 |
神を見た犬 (光文社古典新訳文庫 Aフ 2-1)神を見た犬 (光文社古典新訳文庫 Aフ 2-1)
(2007/04/12)
ブッツァーティ

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ディーノ・ブッツァーティ『神を見た犬』(関口英子訳、光文社古典新訳文庫、2007/4)

ディーノ・ブッツァーティ(Dino Buzzati、1906-1972)。小説家というよりジャーナリスト、ジャーナリストというより画家?
イタリアの小説といえば、前にチェーザレ・パヴェーゼ(1908-1950)の『故郷』(原題:Paesi tuoi)を読んだけれど、それとはまた違った雰囲気(当り前か)。
面白かったー。昨日、往復の電車で読んじゃった。
22篇を収録。かなりキリスト教的な色彩が濃く出されているかもしれない。そして作者はペシミストだろう。
表題作の「神を見た犬」もよかったけれど、「聖人たち」も好きだな、私は。
この人の絵も見てみたいと思った。

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【買った本】2冊
2008年09月01日 (月) | 編集 |
福田首相の辞任会見、さっきテレビで見た。
「私は自分を客観的にみることくらいできますから」「あなたとは違うんです」だったかしら。
こういうカッとしたともとれる発言に、辞める時機について(は)それだけ考えていたってことを、何となく感じた。

*****

きのう届いた本の包みを開けようとして、カッターを思いっきりスパンと滑らせてしまい、指を切った。
ほんとすごい勢いだったから、傷口を見るのも(すごいことになってそうで)怖かったんだけれど、実際見てみたら浅くてホッとした。以後注意しよう。
というわけで古本屋から届いた本。
  ・カール・バルト『ローマ書講解』(世界の大思想Ⅱ-13、河出書房新社)
  ・中野重治『斎藤茂吉ノート』(筑摩叢書21)
ひゃー愉しみ。
しかしこの一ヵ月ほど、分不相応に本を買いすぎている。生活者として反省すべきである気がする。

*****

いい加減、読んだ本も記録しとかないと、どんどん忘れてしまうのだが。
  ・武田百合子『犬が星見た』(中公文庫)
  ・プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』(竹山博英訳、朝日選書)
  ・小林敏明『憂鬱な国/憂鬱な暴力』(以文社)
  ・橋川文三『西郷隆盛紀行』(朝日選書)
  ・佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書)
  ・『エロシェンコ童話集』(高杉一郎編訳、偕成社)
とか。たぶん。

細川周平『遠きにありてつくるもの』は、やっぱり面白い。
でも図書館に返す期限までに読み終わりそうにない。来月あたり、買うかねえ。
参考文献でも面白そうなのがいっぱいあるのだけれど、どうやらドイツ語の本。
わたしゃードイツ語がさっぱりじゃけんのう。独語とはいえ、やっぱり独学は難しいだろうなあ。
はー参った参った。

語学といえば、うちにあった岩波文庫版のチャペック『ロボット』、千野栄一訳だった。そういやチェコ語か。あー『ポケットの中のチャペック』も読みたいんだった。

頭が追いつかない。

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